「火星の人類学者」借りてみた

先日の心理学の講義の中で紹介された本を早速借りてきました

この本の7人の患者のひとり、ジョナサン・Iという人は
豊かな色彩で絵を描く65歳の画家なのだけれど
ある日交通事故で脳を損傷して色が一切見えなくなったという
そして、その2ヶ月後(先生は2週間と言っていたが本は2ヶ月となっていた)
に描いた絵が白黒で、それから2年経って描いた絵は白黒に黄色が入っていた
そのスライドを見たあとで、学友Nさんと
「事故後に白黒になってまた色がでてくるって、どういうわけかしらね?」と
話していて、どうにも気になっていたので、借りてきたというわけ

私の授業中のノートにも「自分だったらどうする?」と...
Nさんと「でも、色がわからなくなるショックも大きいけれど、そういう自分が
どういう絵を描くのかということはとても興味深い。この人もそういう実験的な
部分があったのでは」という話をしていたのです

でも、この本を読む限り、このジョナサン・Iという人の絶望感は
そんなナマヤサシイものではない
なにしろ、色に対して人一倍「知っている」人だったのだし
そして、彼の「白黒の世界」は普通にカラーで見える人が想像する
白黒テレビや白黒映画のそれとはまったく違うと言うことで
言って見れば「鉛の世界」だということ
その説明は脳のシステムの話になり、ここでは無理だけれど...

そして絵は実験と模索の末
「色が使えないなら、白と黒で描こう」と決意するんです!
そうして、「色の記憶」も失って行く...
2年後に描いた黄色を加えた絵については記述がないけれど
先生は、奥さんの手助けがあって黄色を加えた、と言っていた
本人にとっては、あまり意味のあることではなかったのかなとも思える
だって黄色はただの「色あせた灰色」にしか見えないのだし...
その後白と黒の時代に入って創造的再生を果たしたと書いてある

ジョナサン・Iは事故後自殺を考えることになるし
立ち直るまでは壮絶
それでも、部屋中のものをグレーに塗ってしまい、違和感を消そうとしたり
夜のほうが見えやすく活動しやすいのを発見して夜型人間になったり
やはり前向きな人なんだろうなぁ...

そして数年後には「色に煩わされずに、純粋な形を見られるようになった
自分の視覚が「高度にとぎすまされ、恵まれた」ものだと感じる」ようになり
まったく新しい世界を与えられたと感じるまでになる

もしも、自分がそうなった時、いったいどうするか、どういう絵を描くか
そもそも絵を描こうという気持ちになるのかどうか...?
神経生態学などの専門的な話で難しい部分もあるけれど
脳の不思議、心理の不思議...非常に興味深いものがあります






コメント

さっそくお読みになったのですね

次の週スクは試験になってしまいますが
またお話をお聞かせください

  • 通信仲間N
  • 2014/09/30 19:47

Nさん
さっそく借りて、すぐに読んでしまいました!
ジョナサンさんのところだけですが、
他の患者さんの症例も興味深い〜
土曜日、持っていきますね〜

  • RIE
  • 2014/09/30 23:02